胆嚢癌 は胆嚢と胆嚢管にできる悪性腫瘍です。初期には症状がなく、進行してから右上腹部痛や黄疸、むかつきなどの症状が出ます。そのため発見時には進行していることが多く、予後は不良です。
ただし健診などの画像検査や採血検査での異常値を契機に比較的早期に見つかることもあります。エコーなどの画像検査で診断が確定します。手術療法が治療の基本です。手術ができない場合に化学療法が施行されます。
胆嚢癌とはどんな病気?
胆嚢癌とは
胆嚢癌(たんのうがん)は文字通り胆嚢(厳密には胆嚢と胆嚢管)に悪性腫瘍(癌)ができる病気で、日本では全悪性腫瘍の1~2%程度を占めています。
肝臓でつくられる胆汁(たんじゅう)は胆管(たんかん)を流れて十二指腸(正確には十二指腸乳頭部と呼ばれている部分)に放出されます。胆嚢は胆管の途中にある袋状の構造物で、胆汁を貯めて濃縮し、放出するはたらきをしています。
胆嚢管は胆嚢と胆管の接続部に相当します。胆嚢癌、胆管癌、乳頭部癌をまとめて胆道癌(だんどうがん)と言います。
胆嚢癌は初期には症状が乏しいために、発見時にはすでに進行していることが多く、予後は不良になりがちです。男性よりも女性に好発するとされ(男性の1.5~2倍)、60歳台が最多です。
胆嚢癌の症状
上述したように胆嚢癌の早期は無症状のことが多く、初期症状として典型的なものはありません。
早期胆嚢癌が見つかった人は健康診断、あるいは胆嚢癌精査とは別の目的でエコー(超音波検査)やCTなどの画像を撮影したときにたまたま発見されたケースや、健康診断や別の病気のために行った採血検査で異常値を指摘されたために詳しく調べた結果として見つかる場合がほとんどです。
胆嚢癌が進行するとようやくさまざまな症状が出るようになります。一番多い症状は右上腹部痛(胆嚢は右上腹部にあります)で、他には黄疸、むかつき(悪心(おしん))、嘔吐、食欲不振、体重減少などがあります。
ただしこれらの症状は胆嚢癌に特有のものではなく、他の病気でも出現することがあります。特に黄疸は上記の胆道癌全てで起こりうる症状です。
ただし乳頭部癌での黄疸が最も初期から出現するのに対して、胆管癌では初期から出現して徐々に増悪、そして胆嚢癌は進行しないと黄疸が出てこないという特徴があります。なお黄疸についての詳細は別項をごらんください。
さらに胆嚢癌の転移の部位や程度によって腸閉塞(イレウス)や癌性腹膜炎を生じることもあります。
胆嚢癌を疑う契機となる血液検査
血液検査で胆嚢癌の診断が確定することは基本的にはありません。
ただし血液検査でのALP(エー・エル・ピー。英語表記のアルカリフォスファターゼから医療関係者はしばしば“アルフォス”と呼びます)高値やγ-GTP(ガンマ・ジー・ティー・ピ―)高値などの検査値異常を契機として胆嚢癌が疑われることはしばしばあります。
ただしこれらの検査値異常は胆管癌や乳頭部癌、さらには癌ではない他の病気でも認めることがあります。またよく知られているようにγ-GTPは飲酒をしている人でも増加する場合があります。
胆嚢癌の画像検査
エコー(超音波検査)は胆嚢癌が疑われた場合に、まず初めに行われる検査です。癌は胆嚢の壁の不整な隆起(もりあがり)、あるいは壁肥厚として描出されます。
胆嚢癌と鑑別が必要な病気に胆嚢ポリープや胆嚢腺筋腫症(たんのうせんきんしゅしょう)があります。
エコーでもある程度の鑑別が可能ですが、最終的にはEUS(超音波内視鏡)、CT検査特にMDCT(エム・ディー・シー・ティー。CT検査の1種でマルチスライスCTと呼ばれるものです)、MRCP(エム・アール・シー・ピー)などの検査を適宜組み合わせて診断を確定します。
胆嚢癌の治療
手術療法が治療の基本であり、現状では唯一の根治療法です。癌の病気に応じて胆嚢だけを摘出するケースや、胆嚢摘出と同時にリンパ節廓清(かくせい)、肝臓の部分切除まで行なう場合もあります。癌の拡がりによっては胃、十二指腸、膵臓まで切除が必要となることもあります。
非常に進行している場合は手術が施行できません。その際には化学療法(いわゆる抗がん剤治療)が選択されます。
ただし全身状態などによって化学療法を施行することができない場合は痛みの軽減などを目的とした緩和療法を行ないます。放射線療法はあまり効果がないとされ、ほとんどの場合用いることはありません。
まとめ
胆嚢癌とはどんな病気?
胆嚢癌とは
胆嚢癌の症状
胆嚢癌を疑う契機となる血液検査
胆嚢癌の画像検査
胆嚢癌の治療