糖尿病 は血糖を調節するホルモンであるインスリンの分泌あるいは作用が低下するために高血糖となる病気です。大きく1型糖尿病と2型糖尿病に分類されますが、日本では2型糖尿病がほとんどです。
糖尿病になる人は年齢が進むにつれて増加します。高齢者の糖尿病にはいくつかの特徴がありますが、糖尿病の病状や合併症の程度などの個人差が非常に大きいことが最大の特徴です。
糖尿病の種類や特徴は?
糖尿病ってどんな病気?
糖尿病は、インスリンというホルモンの量が足りなくなる、あるいはインスリンの働きが悪くなることにより、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなりすぎる(この状態を高血糖と呼びます)病気です。
正常の人の尿にはブドウ糖は出ません。血糖値が高くなると、尿にブドウ糖が漏れてしまうために、糖尿病という病名がついています。
高血糖の状態が続くと、全身のさまざまな臓器がいたんでしまいます。特に神経、目の網膜、腎臓に合併症が起こりやすいことが知られています。
インスリンの分泌能力、細胞でのインスリン働きのいずれもが、年を重ねるごとに低下していきます。したがって、糖尿病になる人の割合は、加齢とともに急激に増加し、最近の調査では60歳以上の人の6人に1人は糖尿病である、という結果も出ています。
また、年齢が進むにつれて、糖尿病による合併症の頻度も高くなることから、一人でいくつもの病気に悩まされる人も少なくありません。ただし、若い人と同じくらい元気な軽度な糖尿病患者さんも多く、個人差が大きいことが高齢糖尿病患者さんの特徴の一つです。
インスリンとは?
人体にはたくさんの種類のホルモンという体の様々なバランスを調整している物質があります。インスリンはすい臓でつくられて血液中に分泌されるホルモンで、細胞が血液の中からブドウ糖をエネルギーとしてとりこむことを助けています。
血液の中からブドウ糖がとりこまれると血糖値は低下しますから、インスリンは血糖値を下げる作用があるホルモンということもできます。
人体には血糖を上げる作用をするホルモンは複数ありますが、血糖を下げる働きがあるホルモンはインスリンだけしかありません。インスリンが必要な分だけ生産され、かつインスリンが正常に作用するときに、血糖を十分に下げることができます。
しかし糖尿病患者さんは、インスリンの分泌が減っている、あるいは、インスリンの働きが悪くなっているために、血糖を適切に下げることができず高血糖の状態になっています。
1型糖尿病と2型糖尿病
糖尿病はいくつかのタイプに分類されていますが、その中でも多いのが1型糖尿病、2型糖尿病です。日本では圧倒的に2型糖尿病が多く、生活習慣病と関係している糖尿病も2型糖尿病です。またメタボリックシンドロームと深く関係するのも2型糖尿病です。
2型糖尿病患者さんではインスリン分泌が低下はしているものの全く分泌がないわけではなく、いくらかは分泌されています。一方で細胞でのインスリンの働きが低下し、インスリンが十分に作用することができなくなっているケースもあります。
インスリン分泌の低下と、インスリン作用不足の両方の要素をもっている2型糖尿病患者さんも少なくありません。
これに対して、1型糖尿病ではすい臓のインスリンを産生する細胞(ベータ細胞と呼ばれています)が壊れてしまい、インスリンが全くといっていいほど分泌されなくなっています。
1型糖尿病は小児や比較的若い人に突然起こってくることが多い病気ですが、比較的ゆっくりとベータ細胞が破壊され、その結果成人後や高齢になってから1型糖尿病が生じてくる場合があります。
高齢者の糖尿病の特徴
インスリンの生産能力、インスリンの働きぐあい、そして糖尿病合併症の起こりやすさや進行の速さにはもともと個人差があります。そしてこれらは、糖尿病を発症してからの年月(糖尿病の罹病期間と言います)によっても大きく異なります。
例えば、同じ70歳の糖尿病患者さんでも、40歳から糖尿病を患っている人と、65歳からの人では、病状が違う場合があります。さらにそれまで受けてきた糖尿病の治療内容や、それまでに過ごしてきた生活様式によっても変わってきます。
この個人差が大きいことこそが高齢者の糖尿病の最大の特徴です。したがって、患者さん一人一人の病状と、個人的な生活背景も考えたきめ細かな治療の工夫が必要になります。
一方で自覚症状が出にくく、あるいは異常を感じていても年齢のせいにして見過ごしてしまうことが多いこと、あきらめや家族への遠慮などで治療へのモチベーションが低いこと、それまでの生活習慣をなかなか変えることができないことも高齢者の糖尿病の特徴と言えるでしょう。
まとめ
糖尿病の種類や特徴は?
糖尿病ってどんな病気?
インスリンとは?
1型糖尿病と2型糖尿病
高齢者の糖尿病の特徴