糖尿病は自覚症状がないことが多いので、自分に糖尿病の可能性があるかどうか、もし糖尿病なのであれば病気がどの程度進んでいるかは検査をしないとわかりません。“糖尿病が検査の病気”といわれるのはこのためです。
糖尿病 の可能性がある人を見つけるための 検査 として採血での血糖値と尿糖の有無、糖尿病の可能性があるときに行う検査としてOGTTがあります。またHbA1c検査も行われています。
糖尿病の検査
糖尿病の可能性がある人を見つけるための検査
健康診断で通常行っている検査です。空腹時に採血して血糖値をみるか、採尿して尿糖の有無を検査します。
血糖値は食事をとる前(空腹時)か食後かで大きく変わります。尿に糖がおりているかどうかも、血糖値によって陽性になったり、陰性になったりします。食後に検査した血液検査や尿検査では正確に判定できないことがあります。必ず検査は空腹時に受けるようにしてください。
空腹時血糖値の判定
空腹時血糖値(mg/dl)は低い方から①100未満、②100以上~110未満、③110以上~126未満、④126以上に分類して判定されます。
①の血糖値100未満の人は正常域とされ、現在糖尿病の心配はほとんどないでしょう。
②の血糖値100以上~110未満の人は、正常高値に分類されます。メタボリックシンドロームに当てはまる人など、他の生活習慣病がある人は、なるべく後述するOGTTを受けた方がよいでしょう。
③の血糖値110以上~126未満の人は糖尿病の疑いがありますので、できるだけOGTTを受けてください。
④の血糖値126以上の人は糖尿病域に分類されます。必ず医療機関を受診してください。
毎年健康診断を受けている人は血糖値の経過も目安になります。ずっと①だったが、3年前からは②になり、今年は③の範囲であった、というように少しずつ血糖値が上昇している場合は糖尿病を発症しつつある可能性が高くなります。
空腹時尿糖の判定
血糖値がかなり高くなると、尿に糖が排泄されるようになります(糖尿病という病名の由来です)。したがって尿糖が陽性であれば、糖尿病が強く疑われます。必ず医療機関を受診してください。
尿糖は血糖値が170mg/dlを超えてくるくらいから陽性になります。したがって少しくらい高い血糖値では尿に糖は漏れないために、尿糖陰性であっても、糖尿病の疑いを完全に否定することはできません。
とくに高齢者の場合は腎臓の機能が低下している関係で、血糖値が170mg/dlよりさらに高くなっていても、尿糖が出ないケースがあるために注意が必要です。
糖尿病の可能性があるときに行う検査
健康診断などで糖尿病の可能性を指摘された人に行う検査です。OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)という精密検査をして、糖尿病の診断を確定します。
ただし健康診断などでの血糖値がひどく高い場合はOGTTを施行せずに、糖尿病と診断されるケースもあります。精密検査をするまでもない疑いのない糖尿病、というイメージです。糖尿病の診断基準については、別項を参照してください。
OGTTは75gのブドウ糖が入った水(甘いジュースみたいな感じです)を飲んでもらい、飲む前と飲んだ後の血糖値の変動から糖尿病かどうかを判断する検査です。
医療機関によっては血糖値と同時にインスリンも採血して、インスリンの出具合や、効き具合を判定し、現在糖尿病ではなくても、“将来の糖尿病へのなりやすさ”までチェックしてくれる施設もあります。
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)検査
HbA1c検査はもともと糖尿病患者さんの血糖コントロールの指標として使われていた採血検査ですが、最近では一部の健康診断や人間ドックにも測定項目として採用されています。また、糖尿病の診断確定にも利用されています。
HbA1c検査は、ヘモグロビン(赤血球にあるタンパク質で、全身に酸素を運搬する働きをしています)のうちどれくらいがグリコヘモグロビン(血液中のブドウ糖がヘモグロビンと結合したもの)に変化しているのか、その割合を調べる検査です。
HbA1c検査の最大の利点は、過去1~2ヶ月の血糖値の状態を反映することです。したがって、健康診断の直前に食事を抜いたり、食生活を改めても、HbA1c検査をすれば普段から血糖値が高い人はすぐにわかってしまいます。
まとめ
糖尿病の検査
糖尿病の可能性がある人を見つけるための検査
空腹時血糖値の判定
空腹時尿糖の判定
糖尿病の可能性があるときに行う検査
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)検査