糖尿病 は血糖値が増加する病気ですから、血糖コントロールの状況を知るためには 血液検査 が欠かせません。
ただし病院の先生は血液検査で血糖値や血糖に関連した数値だけをみているわけではなく、患者さんの状態にあわせて腎臓の機能や、中性脂肪、コレステロール、さらにはヘモグロビンといった項目も一緒にチェックしていることが多いのです。
糖尿病での血液検査は血糖値だけを見ているわけではありません
血糖値の測定は血糖コントロールの把握に欠かせません
糖尿病は血糖値が異常に上がってしまう状態ですから、その状態や治療効果を把握するためには、必ず血糖値や過去1~2ヶ月の血糖値の状態を反映するHbA1c検査(ヘモグロビン・エー・ワン・シー検査、詳しくは別項を参照してください)を採血検査で確認する必要があります。
したがって病院を受診するたびに採血検査を受けている糖尿病患者さんも少なくありません。ところが、採血検査では必ずしも血糖値やHbA1cだけを測定しているわけではないのです。以下に血糖値以外に血液検査でよく測定される項目を説明していきます。
なお下記の検査項目以外に、同時にわずらっている病気や以前にわずらった病気などに応じてさまざまな項目が血液検査でチェックされていることもあります。
腎臓の機能
糖尿病の合併症の一つに糖尿病性腎症と呼ばれる腎臓の病気があります(詳しくは他項をご覧下さい)。また糖尿病の薬、特に飲み薬は腎臓の働きが悪くなってしまうと副作用が出やすくなり使いづらくなるために、腎臓の機能を把握しておくことはとても重要です。
血液検査でクレアチニン(よく検査結果にはCre、あるいはs-Creと表示されています)という値を測定して腎臓の働きを調べます。クレアチニンは高ければ高いほど腎臓の働きが悪いことを示すのですが、男性か女性か、あるいは年齢によっても正常値が変化しますので、自分のクレアチニン値の解釈については主治医の先生に相談するとよいでしょう。
中性脂肪、コレステロール
日本人で9割以上を占める2型糖尿病で中性脂肪(中性脂肪は検査結果にはトリグリセライド、あるいはTGとも表記されることがあります)の数値が異常に高くなる、そしてHDLコレステロール(エイチ・ディー・エル・コレステロール、いわゆる善玉コレステロールのことです)の数値が異常に低くなることがよくあります。
さらにはLDLコレステロール(エル・ディー・エル・コレステロール、いわゆる悪玉コレステロールのことです)の数値が異常に高くなることも少なくありません。これら中性脂肪値やLDLコレステロール値の増加、あるいはHDLコレステロール値の低下をまとめて脂質異常症と言います(以前は高脂血症と呼ばれていました)。
糖尿病の人は健康な人に比べて狭心症や心筋梗塞、あるいは脳梗塞(動脈硬化性疾患と言います)なる頻度が高いのですが、糖尿病にこれらの脂質異常症が合併していると、さらに動脈硬化性疾患を発症しやすくなることがわかっています。
従って毎回ではないにしても血液検査で中性脂肪やLDLコレステロール、あるいはHDLコレステロール値をチェックして、異常であれば飲み薬を使って改善することが必要になります。
ヘモグロビン
ヘモグロビン(Hbと検査結果にはよく表記されています)は貧血を調べる検査のひとつです。とはいっても糖尿病患者さんに貧血が多いわけではありません。
糖尿病患者さんの血糖コントロールする上でヘモグロビン値が重要な理由は、貧血でヘモグロビン値が低下している場合、貧血の重症度にもよるのですが、HbA1c値も低い値になってしまうからです。
これはHbA1cがヘモグロビンを利用して測定しているからなのですが、例えば貧血がなければ本当はHbA1c8%であるはずなのに、同時に貧血があったためにHbA1c7.4%と検査結果が低めに出てしまうことがありえるのです。
これではHbA1cを血糖コントロールの指標として用いることができません。ですから、ヘモグロビン値を知っておくことは、糖尿病患者さんの血糖コントロールに大切なのです。
グリコアルブミン検査
これはHbA1cと同じく血糖値の指標として用いる検査で、血液中のタンパク質の主要な成分であるアルブミンが、どのくらいの割合でブドウ糖と結合しているかを調べる検査です。グリコアルブミン値は、過去約2週間程度の血糖コントロールを表す目安になります。
基準値は11~16%で、これより高ければ、血糖値が高い状態が続いているということになります。上記のように貧血があってHbA1cが目安として使えない人では、このグリコアルブミンを目安として血糖をコントロールします。
まとめ
糖尿病での血液検査は血糖値だけを見ているわけではありません
腎臓の機能
中性脂肪、コレステロール
ヘモグロビン
グリコアルブミン検査