軽度の 糖尿病 の状態では 症状 は出ません。つまり、自覚症状がないから糖尿病ではないということはできません。糖尿病が悪化して血糖値がひどく高くなっている場合、のどが渇く、水分を摂取する量が増える、尿の量が増える、トイレが近いといった症状があらわれます。
糖尿病患者さんの多くは症状を自覚していません
少々高い血糖値では症状は出ません
糖尿病は血糖値という血液中の血糖の量が異常に高くなる病気です。正常値を少し超えたくらいの血糖値では症状はあらわれません。
言い換えれば自分では気づくことができませんし、自覚症状がないから糖尿病ではないとは言えません。しかし、少々高い血糖値でも放置していると、血管が知らないうちに傷んでしまい、全身にさまざまな合併症が起こります。
実際に医療機関で糖尿病と診断された人のほとんどは無症状で、合併症が生じる状態まで進行して初めて自覚症状があらわれ、医療機関を受診する場合も少なくありません。
高血糖に伴う主な症状
糖尿病が悪化して血糖値がかなり高くなってくると、様々な症状が現れ始めます。典型的な糖尿病の症状として、のどが渇く(口渇)、水分を摂取する量が増える(多飲)、尿の量が増える(多尿)、トイレが近い(頻尿)といったものがあります。
これは尿に糖が漏れるようになると、浸透圧の関係で血液中の水もたくさん尿として出るようになってしまい、その結果、脱水になってしまうからです。
ただし、これらの症状には個人差があり、同じように高い血糖値であっても症状がすべて出る人もいれば、1つしか自覚しない人、さらにはかなりの高血糖であるにもかかわらず全く症状を感じない人もいます。
特に高齢になると症状が出にくくなる、もしくは自覚しにくくなることが知られています。あるいは何らかの異常を感じていても年のせいにしてしまうことが少なくありません。
のどが渇く、水分を摂取する量が増える、といった症状は、夏場の暑い季節には血糖値が高くない正常の人にもよくあります。したがって、尿量の増加やトイレの近さが、一番便利な目安になるでしょう。
日中の排尿回数については、飲んだ水分の量で変わってしまうので、夜にトイレで尿をした回数が目安として有用だと思います。
例えば、今までは就寝から起床までトイレに1回起きるだけであったのが、3回や4回も起きなければならなくなってきた、という場合は糖尿病の可能性があります。
高血糖が長期間持続したときの症状
高い血糖値が続いているのに放置していると、疲れやすくなる、からだがだるい(身の置き所がない、と表現する患者さんもいます)、体重が減少する(ダイエットをしているわけでもないし、食欲がないわけでもなく、いつもどおり食べているのにどんどんやせていく)、といった症状も出るようになります。
これらの症状のあらわれ方にもやはり個人差があり、高血糖が持続したから必ず自覚するわけではありません。
高齢者はがんの好発年齢であることから、体重が減少していくと、自分はがんではないか?と思う高齢の方が多いのですが、がんではなく、(重度の)糖尿病である場合があります。
合併症を生じたときの症状
血糖値が高い状態が続くと、目や腎臓、神経などの細い血管が傷んでしまい、様々な合併症が起こります。
目に合併症が起こると(糖尿病網膜症と言います)、眼底出血が起こり、視力が低下したり、目がかすんだりします。
また神経に合併症を来すと(糖尿病神経障害といいます)、手足にしびれや痛みを感じたり、さらには便通異常、立ちくらみ、勃起障害(ED)といった症状を自覚します。
一方で腎臓の合併症(糖尿病腎症)が悪化すると、全身にむくみが出現し、だるさや食欲の低下といった尿毒症の症状が出てきます。
ただし、これらの合併症状の症状も出現の具合には個人差があり、初期の段階では自覚症状はないことがほとんどです。したがって、自覚症状がないから糖尿病合併症はない、ということはできません。
まとめ
糖尿病患者さんの多くは症状を自覚していません
少々高い血糖値では症状は出ません
高血糖に伴う主な症状
高血糖が長期間持続したときの症状
合併症を生じたときの症状