痛風 は高尿酸血症を背景に関節内に析出した尿酸塩結晶により引き起こされる病気で、激烈な痛みを伴う急性関節炎(痛風発作)などが主な症状です。痛風発作は足の親指のつけ根によく起こります。慢性症状として痛風腎や痛風結節などがあります。
尿酸値を適切にコントロールして痛風発作を防ぐことが治療の目標で尿酸生成抑制薬、尿酸排泄促進薬、そして痛風発作時の痛みに対するNSAIDsなどの薬が処方されます。
痛風とはどんな病気?
痛風とは
痛風(つうふう)は関節内に析出した尿酸塩の結晶により引き起こされる急性関節炎発作を主症状とした症候群です。尿酸の代謝異常(高尿酸血症)が背景にあり、慢性化すると腎臓の機能障害や痛風結節をきたすこともあります(詳細は後述しています)。
成人男性に多い病気で、以前は50歳代に発症年齢のピークがありましたが、最近では30歳代とより若い世代にピークが移動してきています。これは過食、大量のアルコール摂取、肥満などの生活習慣が関係しているためと考えられています。
ただし痛風、あるいは高尿酸血症の成立にはこのような生活習慣(環境因子)だけでなく、遺伝的因子も深く関係しています。つまり遺伝的に尿酸の排泄が低下した人に上記の環境因子が加わると痛風発作が生じるものと考えられています。
痛風発作
急性関節炎は激しい痛みを伴います。“風が触れても痛い”ことからこの病名がついています。この関節炎のことを痛風発作と呼びます。
第1中足趾節関節(ちゅうそくしかんせつ。足の親指のつけ根)に最も起こりやすく、初回の痛風発作の約70%は、この部位に生じるとされます。尿酸は血液の温度が低く、酸性に傾くと析出しやすい特長があります。
第1中足趾節関節は心臓から離れていて血流が乏しく(=冷えやすい)、さらに運動量が多い(=酸性に傾きやすい)ために、痛風発作が起こりやすいのです。析出した尿酸塩結晶に対してからだの防御反応が生じる結果、痛風発作が起こります。
激痛だけでなく、赤く腫れ上がることが多く、痛みのために歩くことができなくなることもしばしばです。痛風発作は放置しても数日から1週間程度で自然に治まることがほとんどですが、あまりに痛いために多くの人は医療機関を受診します。
痛みが治まった状態は間欠期と呼ばれ、痛みがないだけでなく、全く無症状となります。ただし無治療のままで放置すると、発作が再度出現し、次第にその頻度が増加するとともに、他の関節にも発作が出るようになります。
痛風の慢性症状
上記の痛風発作(急性関節炎)以外が痛風の慢性症状で、尿酸塩結晶が析出する部位によってさまざまな症状が出現します。
一番重篤な慢性合併症は腎臓の機能が低下することで、これを痛風腎と呼びます。
腎臓内に尿酸塩結晶が付着して腎機能が低下する病態が厳密な痛風腎の定義ですが、最近では痛風にしばしば合併している高血圧、糖尿病、脂質異常症によって起こった腎機能障害も含めて痛風腎と呼ばれるようになっています。
一方で痛風結節は尿酸塩結晶が軟骨、腱、皮下組織などに析出することによって生じる“できもの”です。関節炎と違い痛みはありません。上記のように尿酸塩結晶は血流の乏しい温度が低下しやすい部位で析出しやすいために足や手の指、肘関節、耳介(みみたぶ)によくできます。
痛風結節そのものは基本的には治療対象にはならないのですが、細菌に感染する、あるいは神経を圧迫するなどの場合には手術で取り除く場合があります。
他には高尿酸血症により尿から排出される尿酸が増加するために尿路結石をきたす場合もあります。
痛風の治療
尿酸値を適切にコントロールして痛風発作を防ぐことが治療の目標となります。痛風、あるいは高尿酸血症は尿酸産生過剰型(尿酸が体内でつくられすぎてしまうタイプ)と尿酸排泄低下型(尿酸を腎臓→尿中へと適切に出すことができないタイプ)の2つに大別されます。
尿酸産生過剰型には尿酸生成抑制薬と呼ばれる薬剤が使用され、なかでもフェブキソスタットは痛風・高尿酸血症治療薬のなかでも久しぶりに登場した新薬で、副作用が少ないなどのメリットがあるために最近急速に処方量が増加しています。
一方で尿酸排泄低下型には尿酸排泄促進薬が処方されます。ただし尿路結石を合併している人では、結石をさらに増加させるリスクがあるために尿酸排泄促進薬は通常使用しません。
痛風発作で激しい痛みを生じている時期にはNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる消炎鎮痛薬が処方されます。痛みが激しく大変つらい思いをする病気ですが、痛風発作を起こしている時期でも一般的に入院することはありません。
まとめ
痛風とはどんな病気?
痛風とは
痛風発作
痛風の慢性症状
痛風の治療