便秘に悩まれるシニアの方の中には一般的に良いとされている数々の便秘解消の方法、例えば朝コップ一杯の冷水を飲む、運動する、食物繊維を多く摂取するなどといったことを試みられている方も多いのではないでしょうか。
ただしそうした 便秘解消 方法が高齢者にとっては適さない場合があり、注意が必要です。
シニアの便秘解消方法の落とし穴
朝コップ一杯の冷水は逆効果!?
「朝起きた後コップ一杯の冷水を飲むと良い」便秘の解消方法で最も簡単かつポピュラーなもので、数多くの方が実践されているのではないでしょうか。
冷水を取ることは胃腸の動きを活発かつ蠕動運動を促進されること、血液をサラサラにする、新陳代謝アップなどあらゆる効果があると分かってきております。
ただし高齢者の便秘においては「冷水」を取ることは逆効果との見方をされています。なぜなら高齢者の便秘に「冷え」は禁物と言えるからです。
加齢によって内臓機能が低下してしまっているうえに刺激の強い「冷え」が加わるとさらに拍車がかかり、同時に腸の働きも悪くなるという悪循環になりかねません。
食物繊維の取り過ぎで便秘に!?
次にあげられるのは「食物繊維の摂りすぎ」です。本来ならば便秘解消に有効なはずなのにどうしてこんな矛盾したことが起こりえるのでしょうか。これは水分不足が関係しています。
腸の動きの悪いシニアがたとえ固形物や食物繊維の多い食物を取り入れたとしても便を柔らかくする効果を持つ水分を充分に摂取しないと、便が硬くなって出にくくなってしまいます。
また便秘の種類(直腸性便秘など)によっては食物繊維を取ることがマイナスに働いてしまう場合があります。
便秘解消に有効な「食物繊維の摂取」という言葉が独り歩きしてしまい、つい「食物繊維の豊富な食材」を選んでそれだけを取り過ぎてしまうというケースがままあるようです。
便秘薬は危険!?
最後にあげるのは便秘薬の利用によるものです。
病院で気軽に処方してもらえる便秘薬に「酸化マグネシウム」があります。これは便が硬くなるのを予防する働きがありますが、高齢者が長期間服用すると、呼吸抑制や不整脈、意識障害などといった「高マグネシウム血症」と呼ばれる症状になる恐れがあります。
また筋力が低下している高齢者が便秘薬や下剤を使って強制的に排便を促した場合、本来体内に取り込まれるべき水分が排出され、脱水症状や低カリウム血症を起こす危険性が高くなります。それによって体にかかる負担自体も少なくありません。
更にトイレまで行くスピードや肛門筋の締め付けが弱まっているため、失禁を引き起こす可能性が高くなります。そうなると便意や排便に対する恐怖感などが植えつけられ、便秘の悪化を招いてしまう危険があります。
解消のポイントは「腸内環境」の改善
では便秘解消をするためにはどのような事をすればよいのか。その大きなポイントとなるのは腸の機能・腸内環境を整えること、それを踏まえたうえで便秘しにくい生活習慣を送ることです。単純な話ですが、先ほど述べた「落とし穴」とされている部分を注意することになりますね。
すなわち、食生活においては朝にとるコップ一杯の水を冷水ではなく「白湯」にしてみると良いでしょう。白湯は弱まった内臓を温めるとともにその動きも活発化します。そのうえ老廃物を洗い流すデトックス効果も見られます。
そして寝起きの停滞している胃腸の活動を活発化させるため朝食と水分をしっかりとることです。これにより便を柔らかくする水分を摂取でき、かつ朝食を取ることで便のカサ自体が少なくなることを防ぐことができます。水分の摂取は一度に取るのではなくこまめな摂取が必要です。
そして食材はいわゆる「食物繊維が豊富」なものを選ぶのではなく、食物繊維と水分が多い食材を選ぶと良いでしょう。食事時にはなるべくスープや汁気の多いもの、また果物(レモンやキウイなど)を取ってみるのも効果的です。
また腸内の善玉菌を増やすため、ヨーグルトや納豆といった乳酸菌を含む食材を積極的に摂取することも忘れずに。乳酸菌はサプリメントで取ることも有効です。またオリゴ糖摂取の効果も注目されています。
常用薬が原因となっている場合は、必ずかかりつけ医に相談することが大切です。そしてもし「酸化マグネシウム」を長期間服用している場合はご自身の健康状態と常用されている薬との相性をお医者様と今一度見直しても良いかもしれません。
そのほかにも便秘解消に良いとされる生活習慣、毎朝トイレに行く、散歩や家事など日常的に全身運動をする、などを取り入れていくことも大切です。
加齢による内臓機能や筋力の衰えは誰にでも起こります。それゆえに高齢での便秘解消には体にかかる負担を最小限に抑える必要がありますので、一般的な方法をそのまま鵜呑みにはせず、お医者様に相談しかつ自身の体調に見合った方法を取り入れていきましょう。
まとめ
シニアの便秘解消方法の落とし穴
朝コップ一杯の冷水は逆効果!?
食物繊維の取り過ぎ
便秘薬は危険!?
解消のポイントは「腸内環境」の改善