食べ物を摂取すると食道から胃→小腸→大腸→肛門へと運ばれ排出されます。しかし、何らかの原因で小腸や大腸が詰まったり、狭窄を起こすと内容物が腸の中に停滞してしまい排出されなくなります。この状態を「腸閉塞」と言います。一般的に腸閉塞は「イレウス」と呼ばれています。
イレウスは年齢や性別関係なく、どの年代でも誰でも発症する可能性があります。腸閉塞はその種類によって機械的イレウスと機能的イレウスに分類されます。更に機械的イレウスは単純性イレウスと複雑性イレウスに、機能的イレウスは麻痺性イレウスと痙攣性イレウスに分けられます。
ここでは、それぞれの 腸閉塞 の 原因 について書いていきたいと思います。
腸閉塞は何が原因で起こるのか？
最も多い「単純性イレウス」の原因とは
単純性イレウスの原因で最も多いのは「癒着」です。お腹の手術で開腹した後に傷を修復する過程で腸と腸あるいは腸とお腹の内側のいずれかの場所がひっついてしまう事があります。このことで腸が塞がれたり、折れ曲がったり、捻じれイレウスを生じさせます。
癒着の他にも、大腸がんの腫瘍の拡大、胆石や消化の悪い物の大量摂取、便秘などでも腸管の中を狭窄させたり、塞いで通過障害を起こしイレウスを発症させる事があります。クローン病など大腸の病気でも炎症によっても腸管内を狭くする事があります。
便秘などは加齢で腸の動きが弱くなっている人は注意が必要です。また、若い頃に腸の手術を経験した人も年齢を重ねてから手術した部位が癒着する事もあります。
「複雑性イレウス」は早急に対応が必要
機械的イレウスの中で循環障害を伴うものを複雑性イレウスといいます。これは、腸管が閉塞するのと同時に腸管膜も絞扼され、腸の血流を障害してしまうためです。そのため複雑性イレウスは絞扼性イレウスとも呼ばれています。
原因としては腸捻転やヘルニアかん頓などがあります。腸捻転とは腸が捻じれてしまうことで、腸が長い人に起こりやすいと言われています。ヘルニアかん頓は、腸がヘルニアを起こし筋層より脱出したのが戻らなくなった事を言います。
ヘルニアによりイレウスを起こし、その脱出した出口の部分で腸が絞めつけられ血行障害を起こすため激痛を伴います。子宮がんなど腸以外の腹部にがんがある人も、がんが大きくなるにつれて腸を圧迫しイレウスを起こす可能性があるので注意が必要です。
他にも腸重積などの病気でも複雑性イレウスが起こります。腸重積は腸同士が重なり合ってしまう病気ですが、これは小児に発症する割合が高いです。複雑性イレウスは循環障害もあり、症状も急速に悪化していくので早急に対処する事が求められます。
腸以外の問題で起こるイレウス
上記で述べた機械的イレウスは、イレウスになる原因となる病気があります。一方で機能的イレウスは大腸を支配する神経が何らかの原因で障害されるために起こります。機能的イレウスは「麻痺性イレウス」と「痙攣性イレウス」に分類されますが、代表的なのは麻痺性イレウスです。
この原因として、手術後であったり脳梗塞後であり腸管の運動麻痺が起こる事が挙げられます。また、薬の副作用でも腸管麻痺を引き起こすものがあります。
もう１つの痙攣性イレウスは、腸管の一部が痙攣して起こるものですが日本ではかなり少ないです。低カリウム血症、ヒステリー、神経衰弱などの時にみられます。
機能的イレウスは機械的イレウスより確率は低いとされていますが、どのイレウスも自然には治癒しないので重篤化を防ぐため、早期に病院で処置して貰う事が必要です。
まとめ
腸閉塞は何が原因で起こるのか？
最も多い「単純性イレウス」の原因とは
「複雑性イレウス」は早急に対応が必要
腸以外の問題で起こるイレウス