腸閉塞はイレウスと呼ばれ、腸管の中が狭窄や閉塞を起こすことで発症します。原因によって機械性と機能性に分類されますが、どちらも腹痛や嘔吐、排ガス・排便の停止などの腹部症状を伴います。
治療は絶飲食とし腸管(イレウス管)を鼻から挿入し腹部の張りの減圧を図ったり、薬剤を点滴して治療する保存的療法と腸閉塞の部位や腸閉塞の原因となっている病原を取り除く手術療法があります。
治療後、症状が改善してくると状態をみながら食事が開始されますが、いきなり普段の食事を摂取する訳ではありません。ここでは 腸閉塞 を起こした後、どのような 食事 を摂取したら良いのか書いていきたいと思います。
腸閉塞を起こした後の食事とは
症状が落ち着くまでは絶飲食
腸閉塞になると腸の内容物が停滞してしまうため腹痛や嘔吐などが出現します。これらの症状を和らげ、悪化させないために腸閉塞が回復するまでは食べたり飲んだりしないようにします。いわゆる絶飲食です。
しかし、絶飲食により身体に必要な栄養が入っていかないため脱水や栄養状態の悪化が懸念されます。それらを予防するため、点滴や中心静脈栄養で必要な栄養を入れていきます。
中心静脈栄養とは、鎖骨や首などの大きな血管から点滴を入れて栄養を摂ることです。普通の点滴と比較して高カロリーのものを体内に入れることが出来ます。
流動食から段階的に
腸閉塞になった人の食事は、保存療法でも手術を受けた人でも症状が安定し、ガスが出たことが確認されたら医師の指示のもと飲水から経口摂取を開始していきます。水分を摂取して腹痛や吐き気などの腹部症状がみられなければ流動食から食事を始めていきます。
そこで気分不良などの症状に注意しながら7倍粥→5倍粥→全粥→米飯というように段階的に食事の形態を通常のものに近付けていきます。食事を開始して再び腹部症状が出現するようであれば、再度絶飲食とし点滴をしながら腸閉塞の治療を行います。
注意して食べるもの
腸閉塞が改善し普通の食事が摂れるようになったからと言って好きな物を好きなだけ食べて良い訳ではありません。消化の悪い物は大量に摂取すると再び腸を詰まらせたり、便秘を招いて腸閉塞を起こす可能性があります。
消化に悪い物とはこんにゃくや昆布などの海藻類、きのこやタケノコ、レンコンなど繊維質の多いものなどがあげられます。また、脂っこいものや餅など水分と一緒に摂取すると体内で膨らむものも消化する上で身体に負担を掛けます。
決して食べてはいけない訳ではありませんが、食べすぎないよう注意が必要です。
また、食事を摂取する時は良く噛んで食べることも大切です。しっかり噛むことによって胃や腸での消化の負担を減らすことが出来ます。
特に胃の手術を受けて胃を一部でも切除している人は噛むことを特に意識するようにして下さい。手術により食べ物を胃で消化する時間が通常より短くなっているため、消化不良の状態で腸に食べ物が流れて行き腸閉塞を起こす可能性があるからです。
人工肛門を造設した場合の食事は?
腸閉塞の状態によっては人工肛門(ストーマ)を造る場合があります。人工肛門を造ったからと言って食事制限は特別ありません。しかし、食べる物や量によって便の形状やガスの匂いが変化するため気になることがあるかもしれません。
刺激物や脂肪分の大量摂取は避け、バランスの良い食事を心掛けて下さい。特に小腸に人工肛門を造った場合は食べ物が大腸を通らずに排出されるため、水っぽい便が1日5~6回排出されます。
これが気になって意識的に水分を少なく摂取する人がいますが、これは脱水を招く可能性があり危険です。電解質のバランスを保つためにもしっかり水分を摂るようにして下さい。
また、繊維質の多い食べ物は消化が悪く人工肛門の出口で便を詰まらせる可能性があるため摂取し過ぎないようにします。
まとめ
腸閉塞を起こした後の食事とは
症状が落ち着くまでは絶飲食
流動食から段階的に
注意して食べるもの
人工肛門を造設した場合の食事は?