腸閉塞(イレウス)とは様々な原因で、腸管の内容物の移送や通過に障害をきたした状態を言います。早期に対応しないと症状が軽度でも重篤化し、生命に関わってくる場合があります。
腸閉塞 の 症状 は、腹部症状から始まり悪化していくと全身に症状が出現します。どのような症状が出現するか順番にみていきたいと思います。
腸閉塞の症状にはどのようなものがあるか
初期症状の代表である腹痛
腸閉塞はまずは「腹痛」から始まる事がほとんどです。痛くなったり一旦治まったりを繰り返すような痛みであったり、徐々に痛みが強くなるような感じです。この痛みを「疝痛発作」と呼び、腸閉塞の特徴的な症状です。
同じ痛みがずっと続くというのは少ないようです。腸閉塞が進行してくると、腹痛と共に嘔吐してしまう場合もあります。
腸閉塞の中でも、閉塞性イレウスの場合は痛みは最初あまり強くないと言われています。しかし、絞扼性イレウスの場合は急激で強烈な痛みを伴い痛みが持続するのが特徴です。
また、絞扼性イレウスの場合は、激しい嘔吐や顔面蒼白や頻脈なども伴い、更に悪化するとショック症状を引き起こす事があるので注意であり、早急な対応が求められます。
胃や腸の内容物が逆流してきます
腹痛の次に多い症状が「嘔吐」です。腸閉塞では腸の動きが障害されて悪くなっているため肛門側に消化された食べ物などが流れて行きません。その結果、胃や腸に溜まった食べ物が逆流して嘔吐してしまいます。
嘔吐の内容物は最初は胃の内容物が多いが、時間経過と共に腸の内容物に変化するため糞臭を帯びている場合があります。一方、絞扼性イレウスの場合は、腹部の激痛と一緒に嘔吐があり、これを初期嘔吐と呼びます。
腸閉塞では、嘔吐する事により胃や腸の内容物が外に排出されるためそれによって一時的に腹痛が軽減する場合もあります。
その他の腹部の症状
その他の症状としては、腸の通過障害が起こるため便やガスが出なくなる事が多くあります。ただし、腸閉塞の初期の場合は肛門側の腸に残っている便が少量排出される場合もあります。
また、お腹に腸を通過出来ない便やガスが溜まるため、お腹がパンパンに張って違和感を感じる事もあります。他には、腸の動きが鈍くなっているので食欲不振などがみられる場合もあります。
腸閉塞による全身症状とは?
腸閉塞の全身症状のうち、最も多いのが「脱水症状」です。これは嘔吐を繰り返す事により出現し、脱水が進行してくると呼吸や脈が増加します。更に進行すると血圧が下がりショック症状を引き起こす事もあります。
脱水が進行する事により血管内の血液が減少します。すると、動きの悪い腸への血流がますます減る事に繋がります。そうすると腸に細菌が繁殖し、感染症などを引き起こす事になります。感染症を起こすと発熱などの症状が出現してきます。これは循環障害を伴う絞扼性イレウスの場合によくみられる症状です。
また、腸に長時間血流がいかなくなると、その部分の腸が腐ってくる事があります。そうなると腸に穴が空き、腸の中の内容物が腸から外へ流れ出します。これを腹膜炎と言いますが、腹膜炎になると腹部に激痛が持続し、あまりの腹痛のためショックを起こす事もあります。腹膜炎を起こした場合は早急に手術が必要になってきます。
腸閉塞は腹痛や嘔吐で始まる事が多い病気ですが、この症状は他の病気でもみられる事が多いので放置してしまいがちになります。しかし、腸閉塞の場合は自然に完治する事はないため早期に対応しなければ重篤化し命にも関わってくるような全身症状が出現してくる場合があります。
まとめ
腸閉塞の症状にはどのようなものがあるのか
初期症状の代表である腹痛
胃や腸の内容物が逆流してきます
その他の腹部の症状
腸閉塞による全身症状とは?