肺の中はたくさんの仕切りで区切られており、それぞれ小さな部屋になっています。そのひとつひとつの部屋を「肺胞」と呼びます。肺気腫ではこの肺胞が破壊され、肺胞同士がくっつき大きな部屋となり、肺胞全体の数が減ってしまう病気です。
肺胞の数が減ると身体に十分な酸素が供給されなくなるため呼吸が苦しくなったり、息切れなどの症状がみられます。肺気腫は慢性呼吸不全を引き起こす代表的な病気であり、肺気腫と慢性気管支炎を合わせてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ばれます。
現在増加傾向にありますが、まだまだ認知度の低い病気です。肺気腫は、徐々に進行する病気で進行すると日常生活に支障を来し、その後重症化し死に至ることもあります。ここでは、 末期 に 肺気腫 の症状などについて書いていきたいと思います。
末期の肺気腫の症状やその治療方法
想像を絶する呼吸の苦しみ
肺気腫の最期は息が出来なくなって亡くなります。いわば窒息状態であり、これは想像を絶する苦しみだと言われています。肺気腫は不治の病であり、徐々に進行していきます。特別効果がある薬もないため進行を遅らせることは出来ますが、悪化を止めることは出来ません。
最初のうちは時々息が切れる程度ですが、進行と共に歯磨きやトイレに行くなど普通の生活をするだけでも息が切れるようになります。更に悪化すると寝ている時でも息が辛くなり、末期になると酸素マスクを着用していても息苦しさが緩和されなくなります。
この息苦しさが取れない状況や死への恐怖感で、末期は精神的にもかなり不安を煽られます。
癌などの痛みに対してはモルヒネと呼ばれる麻薬を使って痛みを抑えることが出来ますが、呼吸の苦しさはモルヒネでは効果がありません。そのため肺気腫の人の最期は壮絶だと言われており、肺気腫で亡くなる人を看取った人は絶対にこの病気になりたくないと感じます。
肺気腫の原因の多くは喫煙です。タバコを辞める人の中には肺気腫になりたくないことを理由にしている人も多くいます。
末期にはどのような治療をするのか
先程も述べたように肺気腫は根本的な治療法がありません。延命処置を希望したとしても、息苦しさを多少なりとも緩和するため薬を投与したり、必要な栄養を投与することしか出来ません。
投与する薬とは気管支を広げる気管支拡張薬や、炎症を抑えることで呼吸を楽にするステロイド剤などです。末期には起き上がることも困難となり寝たきり状態になるため、点滴などで必要なエネルギーや水分を補っていきます。
しかし何度も話すようにこれは対症療法であって根本的な治療でないため、状態は徐々に悪化に向かいます。
もちろん治療開始当初から酸素マスクで酸素も投与します。末期には普通の酸素マスクより更に高濃度の酸素が体内に取り込めるリザーバーマスクというマスクを着用します。
しかし徐々に病状悪化と共にリザーバーマスクでも身体に必要な酸素が取り込めなくなっていきます。気管挿管や人工呼吸を装着することも出来ますが症状改善は見込めないため本人・家族でどこまで延命するか事前に十分に話し合うことが必要になってきます。
ちょっとした感染症が命取り
肺気腫の末期では呼吸の苦しさから動くことが出来ず寝たきり状態になります。その為、身体の筋力や抵抗力が下がります。更に呼吸の苦しみを和らげるためにステロイド剤を使っていますが、このステロイド剤は多量に使うことで身体の免疫力を低下させてしまう作用を持っています。
更に食事が摂れないことで低栄養状態になっている場合も多く、このことが身体の抵抗力をますます低下させています。この弱った身体に風邪やインフルエンザなどの感染症の菌が気管から入ってきた場合、戦う力がないため菌が繁殖し肺炎などの病気を引き起こします。
肺気腫の末期の場合、肺炎などの病気が致命傷となる場合も多く、風邪など些細な感染症でさえ病状悪化に繋がるため予防することが重要になってきます。
まとめ
末期の肺気腫の症状やその治療方法
想像を絶する呼吸の苦しみ
末期にはどのような治療をするのか
ちょっとした感染症が命取り