蜂窩織炎 は皮下組織に細菌が感染して起こる病気で、感染部位の発赤や腫れ、痛み、発熱などの症状が出ます。診断の決め手になる検査はなく、症状や身体所見で診断されます。
注射薬や飲み薬の抗生物質で治療し順調ならば5~10日ほどで治癒しますが、経過や持病によっては入院が必要になる場合もあります。
白癬でできた傷が細菌の入り口となって蜂窩織炎が起こることがあり、注意が必要です。
蜂窩織炎とはどんな病気?
蜂窩織炎とは
蜂窩織炎(ほうかしきえん。蜂巣炎(ほうそうえん)とも呼ばれます)は丹毒(たんどく)、皮下膿瘍、壊死性筋膜炎などともに皮膚軟部組織感染症と呼ばれる病気の1つで、皮下組織に細菌が感染して起こる病気です。
蜂窩織炎は丹毒よりも深い部分が障害されますが、両者の違いについては別項を参照してください。症状として発熱、感染が起こっている部位の皮膚発赤、腫れ、痛みなどがありますが、痛みがはっきりしない場合や、当初は発熱だけで皮膚症状がはっきりしない場合もあります。
また上記の諸症状は蜂窩織炎以外の病気でも起こりうることに注意が必要です(詳しくは蜂窩織炎の症状の項をご覧ください)。
感染する皮膚の場所は全身のどこにでも起こる可能性がありますが、特に足、しかも膝よりも下の下肢に生じることが多いです。これは細菌の入り口となる傷ができやすいことが原因です。
蜂窩織炎の検査
肺炎でのレントゲン検査、急性心筋梗塞での心電図検査のような診断の決定打つになるような検査は蜂窩織炎には存在しません。炎症の度合いや全身状態を把握するために採血検査が施行されることも多いですが、基本的には症状と皮膚所見や体温などの診察所見で診断します。
そのために、同様の症状を起こす他の病気(例えば壊死性筋膜炎、詳細は蜂窩織炎の症状の項を見てください)と区別することが難しい場合も少なくありません。また皮下膿瘍を除外するためにエコーやCT検査をすることもあります。
蜂窩織炎の治療
肺炎など他の細菌感染症と同様に抗生物質(細菌を殺す薬)で治療します。
抗生物質にはたくさんの種類があり、細菌によってよく効く抗生物質と、効果がない抗生物質があります(余談ですが近年、複数の種類の抗生物質が無効な多剤耐性菌と呼ばれる細菌の感染症が増加し、医療界では深刻な問題となっています)。
ほとんどの蜂窩織炎の原因菌はSterptococcus pyogenes(化膿レンサ球菌)やStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)であることがわかっており、治療はこれらの細菌に有効な第一世代セフェムと呼ばれる抗生物質を用いて治療を開始することが一般的です。
注射薬が使用されこともありますし、飲み薬で治療される場合もあります。順調に経過すれば、5~10日程度で治ります。
ただし閉塞性動脈硬化症(詳細は閉塞性動脈硬化症の項を参照してください)で血流が悪く抗生物質が病変部位に届きにくい場合などでは、より長期間の治療が必要になります。
入院
蜂窩織炎は必ずしも入院を必要としない病気で、開業医の先生や診療所の先生のところに通院するだけで治ってしまうことも少なくありません。
しかしながら発熱や痛みのためにごはんや水分を十分に摂取することができない場合や、腎不全や肝硬変などの持病がもともとある人、さらにはステロイド薬を使用中の方や糖尿病患者など免疫が低下している人では入院が必要になる場合があります。
したがって、どうしても高齢者の蜂窩織炎は入院した上での治療が多くなる傾向があります。当然ですが、外来通院で治療を開始していても、経過が思わしくない際には、入院治療に変更になります。
なお総合病院では皮膚科や内科、あるいは整形外科の先生が担当するケースが多いようです。
白癬
白癬(はくせん。いわゆる“みずむし”です)は国民病と言われるほど日本人に多い白癬菌による皮膚感染症で、わずらっているのに放置している人も少なくありません。
白癬菌自体が蜂窩織炎を起こすことは基本的にはありません。問題は白癬でできた傷が細菌の侵入部位となって蜂窩織炎を発症することにあります。特に足の指と指の間にある白癬は要注意です。皮膚科を受診して治療を受けることをおすすめします。
まとめ
蜂窩織炎とはどんな病気?
蜂窩織炎とは
蜂窩織炎の検査
蜂窩織炎の治療
入院
白癬