「呼吸器内科が担当する病気(前編)」では、呼吸器内科とはどのような病気を担当する科であるのか、また肺の感染症にはどのようなものがあるのかをご紹介いたしました。後編では、肺の腫瘍をはじめとする 呼吸器内科 が得意する疾患についてご紹介いたします。
呼吸器内科が担当する病気(後編)
腫瘍
肺癌が代表的な疾患です。健康診断や人間ドックで施行したレントゲン写真で異常陰影(いわゆる“肺にカゲがある”と言われているものです)を指摘された場合には、まず呼吸器内科を受診するとよいでしょう。
必ず鑑別が必要な病気の代表的が上述の肺結核と肺癌の2つで、いずれも呼吸器内科が得意とする病気です。
肺癌診断の確定、タイプ(肺癌には腺癌、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)、大細胞癌、小細胞癌の4タイプがあり、予後や治療法が異なります)の同定、転移の評価などを行い、治療方針を決定します。
手術療法が選択された場合には呼吸器内科の手を離れますが(呼吸器外科が担当になります)、化学療法(いわゆる抗がん剤治療)や緩和療法(痛みなどの苦痛を軽減する治療)は呼吸器内科で行う場合もよくあります。
閉塞性肺疾患
閉塞性肺疾患や拘束性肺疾患の評価には呼吸機能検査(いわゆる“肺活量を測定する検査”です。肺活量だけでなく1回換気量などさまざまな呼吸機能の指標を得ることができます)が必須ですが、そのデータの解釈にもっとも精通しているのが呼吸器内科の先生です。
閉塞性肺疾患には気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)以外にびまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎などの病気が含まれます。喫煙者、もしくは以前喫煙していた人に多い肺気腫はCOPDとほぼ同じ疾患であると考えてよいでしょう。
したがって肺気腫の専門は呼吸器内科です。肺気腫についての詳細は他項に譲ります。ちなみに総合病院での禁煙外来はしばしば呼吸器内科の医師が担当しています。
びまん性肺疾患
びまん性肺疾患とは胸部レントゲン写真で左右の肺の広い範囲に分布する異常な影を呈する病気の総称です。間質性肺炎、膠原病肺、好酸球性肺炎(こうさんきゅうせいはいえん)、サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、肺胞タンパク症などの病気があります。
頻度が少ない疾患が多いのでなじみが薄い病気も多いと思います。頻度が少ないこととも関連して、治療法が確立していない病気も少なくありません。
胸膜疾患
胸膜は胸壁と肺を覆う膜で、気胸や胸膜炎が主な胸膜疾患です。気胸は“肺気胸”や“自然気胸”とも呼ばれます。“自然気胸”の名前は、昔に肺結核に対して治療目的で行われていた“人工気胸”に対して、自然に生じた気胸を意味するところからきています。
気胸の詳細や治療法については肺気胸の項をごらんください。なお、気胸で手術が必要になった場合は肺癌と同じく呼吸器外科が担当します。
まとめ
呼吸器内科が担当する病気(後編)
腫瘍
閉塞性肺疾患
びまん性肺疾患
胸膜疾患