「咳や頭痛を安易に「かぜ」のせいにしていませんか?(前編)」では、風邪を10のタイプにわけ「せき・はな・のど型」の風邪についてご紹介いたしました。後編では、 咳 のある場合の「せき型」、そして「発熱・ 頭痛 型」についてご説明いたします。
咳や頭痛を安易に「かぜ」のせいにしていませんか?(後編)
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せき型(気管支炎・肺炎型)
咳がある場合、上記の「かぜ」以外に気管支炎や肺炎であることがあります。(繰り返しになりますが持続する咳は「かぜ」である可能性が低く、他の危険な病気である可能性が高くなります。ここでの咳は急性の咳についての説明であるとご理解ください)。
「かぜ」と気管支炎はいずれもウイルスが原因のことが多いために抗生物質は不要であり、厳密に区別する必要はありません。問題になるのは肺炎です。肺炎については他項でも記載していますが、ここではDiehrの肺炎予測ルール(Diehr P,et al.J Chronic Dis,37:215-225,1984))について説明します。
これは鼻汁(-2点)、咽頭痛(-1点)、寝汗(1点)、筋肉痛(1点)、1日中ある喀痰(1点)、1分間あたり25回以上の呼吸数(2点)、37.8℃以上の発熱(2点)の合計点を出すものです。
肺炎の可能性は合計点数-3点で0%、-2点で0.7%、-1点で1.6%、0点で2.2%、1点で8.8%、2点で10.3%、3点で25.0%、そして4点以上で29.4%と報告されています。
もちろんすべての人がこのルールで判定できるわけではありませんが、特に点数が高い人は要注意です。
発熱+頭痛型
「かぜ」やインフルエンザでも“熱が出て頭が痛い”ことはよくあります。しかし他の病気でも発熱と頭痛が起きることがあります。
複数ある原因疾患の中で、もっとも頻度が高く、かつ危険な病気は髄膜炎です。髄膜炎は脳や脊髄を覆う髄膜に炎症を生じる病気です。髄膜炎と普通の「かぜ」あるいはインフルエンザを区別するポイントは、次の3つです。
①これまでに経験したとことのない最悪の頭痛(最悪)、②だんだん悪くなってきている(専門用語で増悪(ぞうあく)と言います)、③症状が突然発生している(突発(とっぱつ)と言います))。これら最悪、増悪、突発の全てに該当しなければ、危険な頭痛である可能性は低いとされています(馬杉綾子, 他.日本頭痛学会誌,33:30,2006))。
また自分でもできる検査としてneck flexion testをご紹介します。neck flexion testは口を閉じてくびを前に曲げ、あごを胸につける検査です。
あごを胸につけることができなければ陽性(髄膜炎などの可能性あり)です。陽性=100%髄膜炎、あるいは陰性=髄膜炎はありえない、というわけではありませんが、参考にはなると思います。
まとめ
咳や頭痛を安易に「かぜ」のせいにしていませんか?(後編)
せき型(気管支炎・肺炎型)
発熱+頭痛型(髄膜炎型)