血糖値とは血液中の血糖の濃度のことで、血液1デシリットルあたりのブドウ糖の量で表します(mg/dl)。血糖値は食事で上昇し、食事開始後120分以内にピークとなりますが、健康な人ではインスリンの働きで食事前のレベルに戻ります。
血糖値が正常レベルよりも高いことを高血糖と呼び、高血糖が持続する病気が糖尿病です。最新の 糖尿病 治療では 血糖値 を下げることはもちろん、血糖値のばらつきをより少なくするように工夫されています。
正常血糖値と糖尿病での血糖値
血糖値とは
血糖値とは血液中の血糖(正確にはブドウ糖)の濃度のことです。わが国ではふつう血液1デシリットルあたりのブドウ糖の量をミリグラムで表します(mg/dl)。
血糖値は食事やおやつなどカロリーを摂取すると上昇しますが、健康な人では、増加した血糖値に対して速やかにすい臓からインスリンというホルモンが血液中に分泌されるために、食事前の数値に戻ります。
つまり健康な人ではなるべく血糖値を一定の範囲内に維持しておくような仕組みができています。健康な人の空腹時血糖値は110mg/dl未満、食後も140mg/dlを超えることはありません(詳しくは【糖尿病の診断基準】を参照してください)。
血糖値が正常レベルよりも高いことを高血糖と呼び、高血糖が持続する病気が糖尿病です。
血糖値のピーク
血糖値は食前、特に朝食前が一番低くなっています(健診ではこれをチェックしています)。そして食事により上昇するわけですが、最も血糖値が高くなるポイントは一般的に食事開始後120分以内にあると言われています。
そのために、経口ブドウ糖負荷試験(OGTTと呼ばれています)の判定項目のひとつに負荷120分後の血糖値が含まれているのです。OGTTの詳細とその判定基準については、別項を参照してください。
糖尿病で血糖値を測定する場合、空腹時血糖値(=食前血糖値)と食後2時間血糖値をチェックすることが多いのも同じ理由で、1日のうちで最も低い血糖値と、一番高い血糖値の数値を知ろうとしているわけです。ただし間食をすると、違うポイントにピークができてしまうので、注意が必要です。
ちなみに、7時0分に“いただきます”をして、7時30分に“ごちそうさま”をした場合、食後2時間血糖値は9時0分に測定した値です。9時30分ではないことに注意してください。
血糖値とHbA1cとの関係
【糖尿病の血糖コントロール目標】に記載しているように糖尿病患者さんの血糖コントロールの指標は主としてHbA1cが用いられています。
HbA1cの数値が高くなるほど日々の血糖値が高いことを意味しますが、空腹時血糖値や食後2時間血糖値の数値でHbA1c値を算定すること、もしくはHbA1c値から空腹時血糖値や食後2時間血糖値を推定することは困難です。
1日を通じた血糖値の動きはとても複雑で、個人差も大きいからです。例えば同じHbA1c7.5%でも、各食前血糖値が140mg/dlくらいと安定して高い人もいれば、朝食前は110mg/dlくらいとさほど高くないのに、昼と夕食前は200mg/dl前後にまで上昇してしまう方もいます。
血糖値のばらつき
最近24時間の血糖値を測定することが可能になるとともに(24時間血糖モニタリング(CGM)と言います。現時点では糖尿病患者さん全員に行うものではありません)、1日を通しての血糖値のばらつきが大きい人は、血管に与えるダメージが大きいことが明らかになりつつあります。
例えば空腹時血糖値80mg/dl、食後血糖値170mg/dlの人と、空腹時血糖値50mg/dl、食後血糖値200mg/dlの人とでは、平均値は同じであり、したがってHbA1cも近い値になります。
しかし変動幅が小さい空腹時血糖値80mg/dl、食後血糖値170mg/dlの人の方が動脈硬化は起こりにくいことがわかってきています。健康な人では、血糖を下げるインスリンや、血糖を上げるグルカゴンなどのホルモンが血糖値のばらつきを最小限にするように自然に調節しています。
最新の糖尿病の治療もただHbA1cの数値を下げるだけではなく、より血糖値のばらつきを小さくするように工夫されるようになってきています。このことは“質の良いHbA1cを目指す”という言い方で表現されています。
まとめ
正常血糖値と糖尿病での血糖値
血糖値とは
血糖値のピーク
血糖値とHbA1cとの関係
血糖値のばらつき