「坐骨神経痛をストレッチで緩和・予防する方法(前編)」では、坐骨神経症には入浴後のストレッチが効果的であるとご説明いたしました。後編では、 坐骨神経痛 に効果のある ストレッチ をご紹介いたします。
体幹を鍛えることによって坐骨神経痛になりやすいリスクを低減します。
坐骨神経痛をストレッチで緩和・予防する方法(後編)
坐骨神経痛の慢性期の頃から開始するストレッチ
急性期のストレッチは坐骨神経痛を悪化させる可能性が高いので安静にするのが鉄則です。ストレッチを開始する時期の目安は急性期の激痛や痺れが落ち着く慢性期を目安に開始します。足を軽く揃えた状態で立ち、体を前屈させます。
この時に注意して頂きたいのが、急な疼痛や痺れの症状の出現です。疼痛や痺れが出た場合には、「動きを静止」し和らぐのを待ちます。再び、ストレッチを開始して疼痛が走る場合にもまずは「静止」で対応します。
良ければ、次は膝を曲げずに伸ばしたまま、背部をゆっくりと後方へ反らしていきます。この時、手は腰にあてて支えると良いでしょう。以上の動作で上半身の筋肉と大腿筋が伸ばすことができます。
この他には猫のポーズ2種類です。四つん這いになって、手をついて腕を伸ばしたまま、臀部を突き出しながら背部を反らしていきます。ゆっくりと上体を反らしてストレッチをしたあと、体勢を元に戻します。続いて、四つん這いのまま前方へ両手をずらしながら、両腕が床にくっつくように頭と上体を下げて、背中と腰部を伸ばします。
次に、仰向けで腰を中心に上体をひねる動作です。どちらか片側の足を伸ばしたままで、反対側の足を伸ばしている足の膝に対して直角に立てて添えます。伸ばしている足を床からあげます。
これを10秒ほどキープしたら、反対側も同じように行います。他にも仰向けになり、息を吐きながら両膝を胸のあたりで抱えるようにします。これを10回ほど繰り返します。
呼吸はゆっくり深く行うと、筋肉の緊張が和らぎストレッチが行いやすくなります。どのストレッチ動作でも疼痛が生じた場合はそれ以上動かさないことです。毎日行うことで凝り固まった筋肉がほぐれ、衰えていた部位には筋肉がついていきます。
坐骨神経痛の疼痛軽減・消失時はストレッチと筋力強化の有効期
人間は疼痛には弱く疼痛急性期には疼痛コントロールをしようと試みますが、軽減してくるとその苦痛や疼痛が薄れた記憶になる生物です。苦痛が多すぎると、それがストレスとなり身体に不調をきたす仕組みになっているからです。
自己防衛反応は生存していくための必要不可欠なシステムではあるのですが、坐骨神経痛は脊柱筋周囲の緊張と脊柱伸展筋群のアンバランスが生じれば簡単に再発します。
坐骨神経痛の診断されたことがある方は疼痛が軽減・消失したら筋力をつけることが再発防止と本来の疼痛コントロールの真髄といえるでしょう。疼痛がなくなると、普段の生活にそのまま戻ってしまいがちですが、坐骨神経痛は筋力を最低限つけ、維持することが必要です。
慢性期にストレッチを開始して、身体を動かすことに慣れてきたらエクササイズも併用し筋力強化を図るようにしていきます。普段の生活では姿勢を意識して正すと背筋力や腹筋が鍛えられ、毎日30分程度のウォーキングは下肢筋力向上に繋がります。
体幹を鍛えることによって坐骨神経痛になりやすいリスクを低減します。詳しいエクササイズの方法は動画などでも多く配信されています。ご自身のライフスタイルや体調・併存疾患など考慮しながら取り入れ無理なく始めるといいでしょう。
坐骨神経痛におけるストレッチの緩和と予防の観点
坐骨神経痛におけるストレッチの利点は疼痛慢性期には緩和作用があり、症状が軽減もしくは消失時には再燃予防が可能です。
すべてがこのパターンに分類されるとは限りませんが、手術を受けても根治に至らないリスクを考慮すると、再燃予防さえしたら発症率は、はるかに抑えることができるのではないでしょうか。
坐骨神経痛を引き起こす疾患が多々ある中で、生活習慣から引き起こされる坐骨神経痛は意外にも若年層も多いのです。
ストレッチを行うと脊柱の椎間板や神経への負荷が軽減され、筋肉の柔軟性が保たれることから予防に繋がります。神経組織への筋緊張の緩和を期待できるので、身体を湾曲させたり、仰向けで膝を抱えたりすると疼痛の緩和になります。
坐骨神経痛は、日常生活において継続的なストレッチで緩和と予防が可能な疾患であります。ストレッチを継続した結果、再燃リスクが低減された場合には有効性評価が成り立ちます。
坐骨神経痛の症例も個人差があり、坐骨神経痛を起因させる原因疾患の特定が坐骨神経痛を快方させる糸口であることはいうまでもありません。
まとめ
坐骨神経痛をストレッチで緩和・予防する方法(後編)
坐骨神経痛の慢性期の頃から開始するストレッチ
坐骨神経痛の疼痛軽減・消失時はストレッチと筋力強化の有効期
坐骨神経痛におけるストレッチの緩和と予防の観点