腸閉塞 はとても多くの原因によって起こりますが、急激に状態が悪化する、あるいはしばしば 死亡 する怖い病気・病態があります。腸の血流障害が原因になっているタイプで絞扼性イレウスと呼ばれます。
絞扼性イレウスは内・外ヘルニアや腸間膜動脈虚血などの病気が原因で起こります。典型的には激しい腹痛を伴いますが、特に高齢者ではほとんど痛みを訴えないケースもあります。多くは緊急手術を要しますが、救命できないことも少なくありません。
死亡率が高い腸閉塞(前編)
腸閉塞
腸閉塞(イレウスともよく呼ばれます)は、何らかの原因で腸の通過障害が起こり、食物、腸液、ガス、便などが腸に溜まった結果、便や排ガスがなくなり、腹部膨満(お腹がはる感じ)、腹痛、むかつき・嘔吐といった症状が出現する病態です。
腸閉塞の原因となる病気や病態にはとても多くの種類がありますが、そのなかに、急激に状態が悪化して緊急手術が必要になる、あるいはしばしば死亡してしまう怖い病気・病態があります。この項では死亡率が高い危険な腸閉塞や、その原因となる病気について説明します。
危険な腸閉塞
特に危険な腸閉塞は、腸自体の血流障害が起きたことが原因になっているものです。このタイプの腸閉塞は絞扼性イレウスと呼ばれます。血流障害を起こした腸は早ければ数時間で腐ってしまうので、一刻も早い治療(大多数はおなかを開けた手術での治療)が必要になります。
腸が腐ると破れて腸の内容物が腸の外に漏れ出し、腹膜炎やショックとなって死亡することが少なくありません。絞扼性イレウスは一般的に発症が急激で、腹痛は持続的で激しいことが多いことが知られています。
これに対してよくある単純性イレウス(おなかの手術を受けた人がよくなる腸閉塞で、腸が癒着することが原因です。ただし他の原因でも単純性イレウスは起こります。)の痛みは持続的ではなく、痛みの波(痛みがきつくなりしばらくすると軽減することを繰り返す)があることが典型的です。
絞扼性イレウスでは発熱や脈が速くなるといった全身症状を伴うこともしばしばで、早い段階でショック状態に陥ることも少なくありません。注意が必要なのは、他の病気と同じく、高齢者では絞扼性イレウスであっても痛みをほとんど訴えない人がいることです。
後編では、危険な腸閉塞を生じる病気について、そのいくつかを説明します。
まとめ
死亡率が高い腸閉塞(前編)
腸閉塞
危険な腸閉塞